ファイル共有のクラウドサービスなどの浸透により、部署内はもちろん、部門間や部署間での「情報共有」は進みつつあります。
しかし社内の情報管理にはセキュリティリスクが潜んでいたり、最新のデータがわからないなど、業務利用ではまだまだ課題の多い分野です。
そこで本記事では、セキュアかつ効率的に情報共有を進めるためのポイントについて解説します。
目次
なぜ情報共有が必要なのか?
企業における情報共有とは、一人ひとりの社員が個別に持っている情報を1つにまとめて蓄積し、共有、活用することです。
情報共有がなぜ、必要なのでしょうか。
これまで経営資源というと、「ヒト・モノ・カネ」と言われてきました。しかし、近年ではこれに「情報」が加えられることが当たり前となりつつあります。ここで言う情報とは技術やノウハウを指します。つまり、ヒト・モノ・カネは企業が有形資源であるのに対し、情報は個人が業務を通して培い、その個人の中に蓄積されていく無形資産です。ですが、経営資源である限り、個人で独占するものではなく、共有すべきものであるというのは当然でしょう。
では、情報共有されないとどんな不具合が起こるのでしょうか。
第一は「知識の属人化」です。知識の属人化が起こると、「この人がいなければこの業務は回らない」という状態を作ってしまいます。その人が休んだり、万一、会社を辞めたりすると、その業務がストップしたり滞ってしまうことになります。そうすると企業は大きな損失を被ることになるでしょう。
第二に「業務効率の低下」です。部門が異なっても、同じ様な問題や課題を抱えていることがよくあります。例えばその問題に対して、Aという部署ではすでに問題解決済みですが、Bという部署ではまだ解決に至っていなかったとしましょう。同様の問題であればAの解決策を共有することで、Bの問題も解決できるかもしれません。このように情報共有をすることは、業務効率の向上にもつながるのです。
そのほかにも、最近、話題の「One Team」。メンバーがお互いに信頼し、かつ一人ひとりが力を発揮して目標に向かっていく。そんなチームを作るには、情報共有が欠かせません。
一方、なぜ情報共有が進まないのでしょうか。個人における情報共有の障壁は2つの側面があります。
1つは技術的な側面。社内の情報共有ツールが使いにくかったりすると、情報共有は進みません。
もう一つは心理的側面。こちらの障壁を取り除く方がやっかいです。「ノウハウや知恵を共有することで、自分の価値を毀損してしまう」。こういう意識のある社員が一人でもいるとなかなか情報共有は進みません。会社は組織。一人で出せる成果には限界があります。One Teamとして情報を共有し、チーム一丸となって取り組んで行く方がより会社にとって大きな成果になるのだという風土を醸成していくことも非常に重要です。
社内の情報共有にはセキュリティリスクやファイル管理、既存システム連携の課題が多い
個人の情報共有に対する障壁が取り除ければ、終わりというわけではありません。実は情報共有にはまだまだ課題が残っています。
第一に「セキュリティリスク」があること。情報漏えいの原因の多くは、誤操作や紛失・置き忘れ、設定ミス、さらには故意や悪意による不正な情報持ち出し、内部犯行などの人的なものと言われています。特に重要になるのが、故意や悪意による不正行為への対策です。このような人的なセキュリティインシデントが発生しないような対策が万全でなければ、情報共有を進めることは難しそうです。
次に情報共有の仕組みができると、1つのファイルを複数のメンバーで編集したりすることも当たり前になります。バージョンがきちんと管理されていないと、どれが最新のファイルか分からなくなり、古いファイルを使ってしまう可能性が出てきます。例えばそれが価格情報であれば、金額的な損失やお客さまの信頼を損なうことにつながったりしても不思議ではありません。
第三は基幹システムなど既存システムとの連携の課題です。例えば社内で利用しているSFAシステムやERPシステムなどの既存システムにはさまざまな情報が蓄積されています。それらの情報もすべて統合管理して共有することで、業務の効率化、スピードアップが実現できます。ですが、そのような既存システムと情報共有の仕組みを連携するには、多額の改修費用がかかるなど、容易ではないことから、なかなか情報共有のための仕組み作りが進まないということもあるようです。
情報共有の課題を解決するために重要なポイント
ではこれら、情報共有が抱える課題を解決するにはどのようにすればよいのでしょう。
第一のポイントは社員全員が情報共有の価値を認識し、共有された情報をうまく活用していくという分化・風土を醸成することです。情報共有と情報活用することこそ、社員一人ひとりの生産性を高め、会社の利益に繋がるという意識を持てるようなマネジメントが求められます。
第二のポイントは企業が自社の保有する全てのコンテンツを統合的に管理するための仕組みを導入することです。全社的に文書管理やコンテンツ管理システムなどを導入すれば、セキュリティリスクの問題はもちろん、文書のバージョン管理、さらには既存システムとの連携という問題も一挙に解決できます。
セキュリティリスクへの対応としては、社員や組織ごとにアクセス制限をかけたり、活用した履歴を管理する機能を提供するなどがあります。このような機能を提供することで、セキュアにコンテンツを管理することができ、万一、情報が漏えいしたとしても、いつ、だれがアクセスしたかを素早く調査することができるようになります。
文書のバージョン管理が容易にできるようになると、どれが最新文書なのか?だれがいつ更新したのか?などを一目でわかるようになります。
SFAやERPなどの既存システムとの連携も重要なポイントの1つです。既存システムを改修することなくそのままの環境で連携できれば、社員の負担も少なく、コストも抑えられるなどのメリットがあります。
更に文書管理やコンテンツ管理システムの導入は情報共有が抱えている課題を解決するだけではありません。多種多様な「検索機能」も提供されているので、必要な書類をすぐに探せるようになり、業務の生産性も大幅にアップするでしょう。
社内情報共有基盤の構築で企業競争力の向上を目指す!
社員一人ひとりの力を最大限に生かし、企業競争力を向上させるためには、情報共有は欠かせません。
もし情報共有が万全ではないと感じているのであれば、文書管理やコンテンツ管理システムの導入を検討することから始めるとよいかもしれません。
セキュアで効率的な情報管理基盤を作り業務改善を図ることで、ビジネスのさらなる成長を促してみてはいかがでしょうか。