4月7日、政府は東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、福岡の7都府県に緊急事態宣言を発令しました。それを受け、該当地域の企業の多くがリモートワークに切り替えています。
一見、オフィスワークであればリモートワークですべて業務が完了できると思いがちですが、なかなかそうはいかないのが現状です。
そこで本記事では経理・財務部門がリモートワークを実施する際における課題とそれを解決する方法について紹介したいと思います。
リモートワークにおける経理・財務部門の課題
COVID-19感染拡大を防ぐため、5月6日までの予定で出された緊急事態宣言。政府の外出自粛の要請を受け、該当地域の企業を中心に、リモートワークが推進されています。
しかし、リモートワークでは業務が完了できないとして、出社を余儀なくされている業務もあります。経理・財務部門の業務がその一つです。
日本CFO協会が同協会会員を主体とした企業のCFOや経理・財務部門幹部を対象にアンケート調査を実施したところ、2020年2月~3月にテレワーク (リモートワーク) 勤務を実施した企業は約70% (推奨はしたがあまり実施されなかった企業も含む) 。
またその70%の企業のうち、41%が「リモートワーク実施中に出社する必要性が発生した」と回答しました
なぜ、出社する必要性が発生したのか。その理由として最も多かったのが「請求書や証憑書類、押印手続き、印刷などの紙の書類の処理」。続いて「会議・打ち合わせへの参加」「銀行対応」などの理由が挙がりました。
一方、リモートワークを実施しなかった30%の企業が回答した理由の第一は、77%の企業が回答した「書類や証票証跡がデジタル化されていない」ことです。実はテレワークを実施している企業でも紙がデジタル化されている企業は36%にとどまっているのです。
これらのことから、経理・財務部門のリモートワーク普及の最大のネックは、「紙のデジタル化ができていないこと」だと言えます。
課題を解決する紙のデジタル化とコンテンツ管理システムの導入
紙のデジタル化と言っても、紙をスキャンしてデジタル化すれば終わりというわけにはいきません。それらのデータを適切に保管するツールが必要になります。
電子データを一元的に管理し、文書ごとにアクセス権限を設けることができる文書管理システムを導入するのも一つの手でしょう。
しかし、今や企業内で活用されているデータは文書だけではありません。ERPやCRM、SCMなどの構造化データ、さらには画像や動画、音声、SNSの情報などの非構造化データなどが蓄積されています。
しかもこれらのデータはそれぞれのデータベースに分散して保管されているため、そのたびにそれぞれのシステムへのアクセスが必要になります。ネットワーク環境がオフィスとは異なるリモートワークでは、作業効率性を低下させる要因にもなってしまいかねません。
そこでリモートワークに向けた紙のデジタル化のソリューションとしてお勧めしたいのが、ECM (エンタープライズコンテンツマネジメント) の導入です。ECMは情報の取得からアーカイブ、廃棄処理に至るまでの文書のすべてのライフサイクルを一元管理するためのソリューションです。
紙で管理されている注文書や請求書、契約書、技術図面などをデジタル化し、それらの文書ファイル、画像や動画、音声などの非構造化データと、ERPやCRM、SCMなどの基幹系システムの構造化データを一元管理することで、業務の中で効率的に文書ファイルを再利用できるようになります。
またファイル内検索などの優れた検索機能により、必要な情報をより探しやすくなることもメリットです。もちろん、各ファイルにはアクセス権限などもきめ細やかに設定できるので、セキュリティも確保できます。
データはクラウドで管理されるので、社内外の関係者間でコラボレーションも容易になり、リモートワーク環境の整備だけではなく、ペーパーレスを図りたい企業にとっても導入して損はないソリューションと言えるでしょう
リモートワーク環境の整備はBCPや働き方改革でも重要
今はCOVID-19のパンデミック対策として導入が進められているリモートワークですが、BCPや働き方改革の施策としても有効です。
万が一、オフィスが自然災害により被害を受けても、リモートワーク環境が整備されていれば、ビジネスは継続できます。
また働き方改革は、関連法案の施行から、長時間労働の是正に焦点が当たりがちですが、本来の目的は「個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で選択できるようにすること」です。柔軟な働き方の中には、正社員として働く、契約社員として働く、業務請負として働く、正社員でも短時間勤務で働く、場所にとらわれず働くということが含まれます。場所にとらわれず働くことを可能にするためには、リモートワーク環境を整備することは欠かせません。
そして経理・財務部門の方たちのリモートワークを可能にするには、ネックとなっている紙の書類のデジタル化を進め、スムーズに活用できるよう管理できる仕組みを作ることです。
それを実現するソリューションがECMです。緊急事態宣言が解除されても、ウイルスがただちになくなるわけではありません。「紙のデジタル化がネックでリモートワークに踏み切れない」という企業は、ECMの導入を検討してみてはいかがでしょう。
まとめ
経理・財務部門は営業部門とは異なり、外に出ることが少ない職種です。オフィスワーク中心であるため、一見、リモートワークが一番できそうな職種と思われがちですが、請求書や証憑書類、押印手続き、印刷などの紙の書類の処理」により、出社を余儀なくされています。
経理・財務部門の方のリモートワークを進めるには、紙のデジタル化と文書ファイルの適切な管理が欠かせません。
それを実現するソリューションとして有効なのが、ECMです。
リモートワークはパンデミック対策としてはもちろん、BCPや働き方改革にも有効な施策です。数年後の将来には、リモートワークで働くことが当たり前になっているかもしれません。
そんな将来に備え、リモートワークの生産性を高めることにつながる、ECMの導入をお勧めします。