デジタル化の波により、企業が管理する「リッチメディア資産」は増え続けており、特にクリエイティブ業界ではオンラインやオフラインで利用するデジタルコンテンツの管理において、様々な課題が生じています。


本記事では、特にデジタルコンテンツの「一元管理」や「著作権侵害」、「ブランド統一の欠如」など「情報ガバナンス」に焦点を当て、コンテンツ管理のポイントについて解説します。

クリエイティブ業界のコンテンツ管理の課題とは?


デジタル化、ネットワーク化の進展により、クリエイティブコンテンツのあり方も大きく変化しています。

そこで課題になってきたのが、コンテンツの「一元管理」「著作権侵害」「ブランド統一の欠如」です。


例えばこれまでは製品カタログといえば、紙が主流でした。紙のカタログの場合は、印刷するため、DTPデータとして一括で画像やテキストを管理しているのが一般的でした。そして紙のカタログに使われた素材を使いたい場合は、DTPデータから変換するという方法を採っていました。


しかし、近年では製品カタログがWebでも展開されるようになってきました。Web用に加工された画像は解像度が低いため、そのままでは紙に流用することができません。そのためWeb用の素材はWeb制作の部門、カタログ用の素材は紙媒体の制作部門というように、バラバラで管理されることも珍しくありません。


複数の部署で複数の素材がバラバラに管理されていることで、その素材を活用したいというときに、素材の検索に多くの時間がとられます。

また検索で見つかったとしても、どれがオリジナルの素材なのか?どれが最新なのか?といった課題がよくあるでしょう。


さらにやっかいなのが著作権管理です。


今やインターネットの世界には、様々なデジタルコンテンツが流通しており、容易に手に入れることができます。

例えばフリー素材を利用したとしましょう。フリー素材と一口に言っても条件は様々で、個人的に利用する場合はフリーでも、カタログなど商用で利用する場合は有償になったりすることもあります。また無料で使えるといっても、クレジット表記が必要だったり、たとえ購入した画像でも、ライセンスによっては、使用期間や使用用途が決められていたりするものもあります。

使用期限を過ぎてしまうと、権利侵害になってしまいます。また使い回しにより、本来の用途ではないものに利用されると、これも権利侵害となります。


場合によっては、他社が制作したものをうっかり利用してしまう、自社で制作したものが勝手に使われているなど、訴訟や損害賠償に発展するケースもあり、コンプライアンス上の問題が発生する可能性さえあります。


そのほかにも、ブランドロゴを変更したのにもかかわらず、Webサイトのあるページや特定の地域のWebサイトだけ新しいロゴにアップデートされていないなど、企業ブランドの一貫性の欠如を引き起こしているケースも少なくありません。

情報ガバナンスの観点からクリエイティブコンテンツはどのように管理すべきか?


ではクリエイティブコンテンツは全社的にどのように管理すれば良いのでしょうか。

まずは1つのプラットフォーム上で、すべての素材を見える形で保管することです。


そうすることで、社内にはどのようなデジタルコンテンツが存在し、誰が所有しているのかが明らかになります。またマスターデータを検索するということに費やしてきた時間を一気に削減することができるでしょう。


しかもこのようなプラットフォームが構築できれば、Webサイト向け、紙媒体向けというように必要なタイミングで必要な媒体に各プレイヤーが求める環境に合わせてタイムリーにデータを提供することが可能になります。

さらに使い回しの問題や、ロゴ変更漏れなどのブランドの一貫性の欠如という問題も解消できるでしょう。



第二にコンテンツデータと権利関係の情報を一体で管理できるような仕組みを作ることです。

こうすることによって、使用期限の過ぎた商用画像を使ってしまうなど、著作権管理における不備によって発生するコンプライアンス上の問題やリスクを回避することができます。


このほかにも、Webサイトに掲載した画像を無断で使われないように管理することも重要です。無断使用の防止策としては、追跡可能な識別子を画像に埋め込む電子透かしソリューションの活用などが挙げられます。

今注目される「デジタルアセット管理(DAM)」とは?


ではプラットフォームですべての素材を権利関係の情報と一体で管理できるようにするにはどうすればよいのでしょうか。

そこで、注目を集めているのが「デジタルアセット管理(DAM)」ソリューションです。

DAMは全社にあるデジタル素材の「収集」から「管理」「検索」「活用」「配信」までをワンストップで管理できるソリューションです。DAMでは、コンテンツを容易に見つけることができるようにメタデータを付与して管理します。


例えば、使用期限のあるものなどについてはセキュリティポリシーを適用。こうすることで、効率的に管理することができるようになります。社内にあるすべてのコンテンツが一元管理できるようになるため、誰もがキーワードによる検索などで欲しい素材をいち早く見つけることが可能になるでしょう。


また、各部門で所有しているコンテンツをアップロードする仕組みが提供されているので、収集も容易になるだけではなく、利用目的に合わせたフォーマットやサイズ変換ができ、eメールでのファイル送信はもちろん、大容量データのファイル転送機能など、利活用するためのさまざまな機能が提供されているのも特徴です。


DAMを導入することで、「デジタルコンテンツ利活用における情報ガバナンス基盤の整備」につながるといえるでしょう。

まとめ


今後もますますリッチメディア資産は増え続けていきます。どこかのタイミングでこのようなメディア資産を適切に管理していかないと、業務上の負荷や著作権侵害、ブランドの欠如を引き起こす可能性があります。


万一、著作権侵害を起こしてしまうと、損害賠償に発展するケースもあり、経済的な損失が発生するだけではなく、社会的信用も損なってしまう可能性もあるでしょう。


DAMを導入して社内のデジタルコンテンツの利活用における情報ガバナンス基盤を整備し、業務の効率化と標準化を推進してみてはいかがでしょうか?