日々情報が蓄積されていくビジネスの世界では、情報管理はすぐに手に負えない状態になりがちです。また、ときには社内の法務部から緊急の要請などで、関連情報を迅速に共有しなければならないこともあります。

背景にあるのは、複雑化するビジネス環境、そして、これに伴う訴訟や調査時のDiscovery(情報開示)の変化です。

eDiscovery(電子情報開示)においては、これまでより費用が増えたり、今まで無かったリスクが生じたりする可能性もあり、情報ガバナンスが喫緊の課題となっています。

本記事では、eDiscoveryと情報の保持に関する7つの重要なアドバイスをご紹介します。

7つの重要なアドバイス

情報ガバナンスは他人事ではありません

情報ガバナンスは、法務部や、IT部門、コンプライアンス部門の問題ではなく、従業員一人一人が取り組まなければならない問題です。

適切な情報ガバナンスを確保するためには、一貫した戦略を持つチームを作り、情報を一元的に統制・管理する必要があります。

情報に支配される前に、情報を支配しましょう

情報ガバナンス戦略は、将来eDiscoveryを行うリスクやコスト、データ量を未然に減らすものです。

適切に行えばデータをコントロールできますが、適切に行えなければ非常に高いコストがかかることになります。

最近の調査では、Discoveryで特定され、取得、共有、検討された書類1,044ページのうち、1ページだけしか証拠として使用されていないというデータも報告されています。

情報の廃棄に関するポリシーを整備しましょう

保管のコストが安いからといって無制限にデータを保管しないようにしましょう

ひとたび訴訟や規制調査の対象になれば、無用・不要な大部分の情報も含めたすべての情報をサービス事業者が回収して弁護士がレビューしなければならないため、保管コストは一気に高くなったように感じられるはずです。

こうした場合には持っているすべての情報が対象になることを、改めて意識しましょう。

事前準備を怠らないようにしましょう

eDiscoveryの開始後ではなく、開始の時点でまず、何を求めているのかを考えるようにしましょう。

情報の計画、特定、収集、処理において一貫した方法で優先順位をつけることができれば、各ステップの作業ボリューム(とコスト)を減らすことが可能です。

テクノロジーに頼らず工夫しましょう

テクノロジーツールがすべてではありません。

まず重要になるのは人やプロセスであり、テクノロジーはその次です。どのようなテクノロジーを使用するかではなく、問題そのものに焦点を当てるようにしましょう。

司法関与を想定しましょう

今日では、Discoveryにかかわるのは顧客や弁護士、サービス事業者だけではありません。

Discoveryの早い段階、特に見積や予算を作成する段階に関しては、裁判官が、より大きな影響力を持っています。英国のジャクソン改革(ジャクソン判事による民事訴訟費用等に関する改革)などの流れをみると、今後も、各企業や顧問法律事務所、サービス事業者に関する司法審査は更に増えていくことが予想されます。

未来は既に始まっています

現在はもはや、電子メールに対応するだけでは十分ではありません。

今日利用されているコミュニケーション手段は多岐にわたり、こうしたすべての場所で作成・保存される情報についても確認できるようにすることが必要です。

情報ガバナンスによって決まる、総合的な情報管理アプローチを取る以外には、一元的なプラットフォームからすべての情報を一覧する方法はありません。

ご存知でしたか?

 

  • 2014年の調査では、ほぼ半数の企業が、もとのビジネス情報を見つけられず、情報を作成しなおさなければならないことがあったと答えています。
  • 回答企業のほぼ9割は、自社が保存するデータの内容を把握していませんでした。
  • また、58%に上る企業が情報を無期限に保存していました。