OpenText(オープンテキスト)社が行った企業リーガル部門調査によると、企業の法務専門職の4人に3人が、自社の法務部門全体がeDiscoveryコストの削減による恩恵を受けるだろうと述べています。

回答者の約半分が、eDiscoveryソリューションを導入済みか、導入の途中であると答えています。それに加えて多数の企業が、訴訟行為やデューデリジェンスの課題に対抗するために、社内用のeDiscoveryソフトウェアに関心を持っています。しかし、訴訟すべてでその性質が同じというわけはなく、それぞれの法務部門でニーズに合った最適なプラットフォームを見定めなければなりません。

では、最良のeDiscoveryソフトウェアの何に注目すればいいのでしょうか。 

eDiscoveryとは?


まずは基本的なところから始めましょう。ガートナーはeDiscovery(電子情報開示)を、「コモン・ローのディスカバリー要件に応えるための、電子的に保管された情報(ESI)を特定、収集、保管、加工、レビュー、分析、提出すること」と定義しています。

従来、この作業は人力で行われていました。大勢の弁護士が大量のドキュメントに順番に目を通していたのです。ビッグデータの時代にこの方法は通用しないため、ほとんどの組織がeDiscoveryツールを利用しています。

現代のeDiscoveryのシナリオのほとんどに、データベースなどの構造化データとEメールなどの非構造化データの両方が含まれます。このように収集したデータは何十、何百、あるいは何千ギガバイトになることがあり、そのすべてを分析しなければならないのに提出するのはわずかな容量(おそらく数メガバイト)です。これはまさに、針の山から1本の針を探すようなものです。そのため、テキストおよびコンテンツ分析を用いてこれらの情報源からデータマイニングすることが成功の鍵を握ります。マシンラーニングと予測分析ソフトウェアも同様に、eDiscoveryツールボックスに不可欠です。

eDiscoveryにAIを利用することを支持する最初の法廷意見が2012年に出され、それ以来テクノロジー支援型レビュー(TAR)はeDiscoveryプロセスの重要な要素になっています。

 

最後に、レスポンシブデータは、権限で選別・修正され、法廷、相手方弁護士、規制機関、あるいは取締役会に必要に応じて提出されます。このプロセスは、クレジットカードや社会保険番号といったパターンを識別する自動修正技術を用いて合理化することができます。提出処理は複雑であり、リスク、リターンともに大きくなることが多いため、ドキュメントを一つにまとめて外部に送付する前に潜在的なミスが見つけられるように、カスタマイズ可能なワークフローを持つことが重要です。

 

一般的に、レポート作成はeDiscoveryプロセス全体にわたって必要です。eDiscoveryプロセスの主要な指標、例えば収集、選別、提出されたデータ量などは、ドキュメントの提出に関わる法的議論の裏付けとなります。プロセスにおけるその他の指標(例えば、レビューしたドキュメントのうち、最終的に関係があったドキュメントの量など)は、業務ワークフローを最適化し次回のケースで標準化するのに役立つことがあります。

 

eDiscoveryソフトウェアを選ぶ上で確認すべき機能


最良のeDiscoveryシステムで考慮すべき重要な要素には次のものがあります(もちろんこれがすべてではありません)。

 

強固な検索機能

eDiscoveryの最も基本的な機能は「検索」であり(カリフォルニア州弁護士会は検索能力を倫理的義務とさえしています)、どのeDiscoveryツールにも、複数行のブールロジックに対応した強力な検索クエリエディターが不可欠です。

最良のeDiscoveryソリューションには、語句分析や自然言語概念の文脈でキーワードを特定できるような、より洗練された検索テクノロジーも搭載されています。

メタデータの活用

システムの場所、管理人、アクセス時間、サイズ、フィルターの種類などの、メタデータ変数全体の包括的および排他的ESIフィルターは絶対に必要です。

さらに一歩先を行く最良のeDiscoveryソフトウェアでは、メタデータの視覚化により、大量のデータセットからパターンや異常を見つけ出しやすくなります。

マシンラーニング・ツール

eDiscoveryツールには、監視下および非監視下の両方のマシンラーニング・アルゴリズムが組み込まれていなければなりません。

コンセプトグループは自動的にトピックラベルが付いた関連するクラスターにコンテンツを整理します。これにより、分析担当者がデータの全体像を描き、優先度分析のために関心のある特定のテーマに目標を定めることができるようになります。

プレディクティブ・コーディングは、人間による関連性判断を学習して、「これに似たものをさらに探す」ためのデータモデルを構築します。機転の利くeDiscovery担当者は、人間と機械の間で不一致となる異常を見つけ出すために、品質管理の一つとして、あらゆるプロジェクトにこのテクノロジーを利用しています。

既存システムとの統合

eDiscoveryプロジェクトには、さまざまな情報源のデータが関連してきます。訴訟の提出要求には、Eメール、チャット、ファックス、および多種のファイル形式などが含まれます。最良のeDiscoveryソリューションは、ECMやEメールサービスなどの最も一般的なドキュメント保管媒体と接続し、訴訟のためのデータ収集作業を合理化します。

データ収集における従業員への影響を最小限にする

以前は、組織が証拠を収集するには従業員のノートパソコンや電話を物理的に回収する必要がありました。これでは仕事に支障をきたすだけでなく、会社の調査担当者の意図が知られてしまうことになります。

eDiscoveryソリューションは、従業員の日常業務にできるかぎり影響を与えないものでなければなりません。遠隔操作でターゲットからデータを収集でき、エンドポイントからネットワークにログイン・ログアウト可能なため、支障をきたすことがありません。

進行中のデータ取得

eDiscoveryソリューションは、レビューの実施中であっても、プロジェクトの進行を止めずに追加情報を取り入れることができなければなりません。

調査は流動的で常に動きがあります。最良のeDiscoveryツールは、現在進行中のプロジェクトに新たなデータをスムーズに組み入れることができます。

保護可能なデータ

既存データの完全性を維持することは極めて重要であり、ドキュメントのコピーや移動に伴って内容が変わってしまうようなことはあってはなりません。

ESI(電子保存情報)に修正が加えられた場合、法的にペナルティーが課せられる恐れがあるだけでなく、プロセス全体に疑念を持たれることなります。

eDiscoveryソリューションにとって法に適した収集プロセスは非常に重要です。そのため、LEFなどの既に法廷で精査された信頼できるフォーマットを使用する必要があります。

監査証跡とレポート作成

採用されたeDiscoveryソフトウェアは、データが元々あった場所、収集に使用した検索語句、処理方法を示す包括的な監査証跡を提供できなければなりません

レビュー時には、決定記録を保持し、ワークフローをレビューする必要もあります。説明責任や透明性のためだけでなく、プロセスの最適化のためでもあります。

包括的なeDiscovery機能

あらゆる組織が同じレベルの訴訟サポートソフトウェアを必要とするわけではありません。

法的な収集・処理のみで十分な組織があれば、修正・提出機能を含むすべての範囲をカバーするソリューションを必要とする組織もあるでしょう。しかし、どのプロセスを解決したいかに関係なく、サードパーティーへの依存度をなるべく抑えることができる、少数のプラグインで各機能をカバーする包括的なコンポーネントを組み込んだeDiscoveryソリューションを選択すべきです。

まとめ


いかがでしょうか?本記事では、最良のeDiscoveryソリューション(ソフトウェア)を選択する方法について、記載しました。

多数の企業が、訴訟行為やデューデリジェンスの課題に対抗するために、最新のeDiscoveryソリューション(ソフトウェア)に関心を抱いており、ソリューション(ソフトウェア)を選定する上で、訴訟すべてでその性質が同じというわけはないため、それぞれの法務部門でニーズに合った最適なプラットフォームを見定めなければならず、本記事が少しでもみなさんのお役に立てればと思います。