ずいぶん前から「情報ガバナンス」という言葉は目にするし、周囲の会話でも漏れ聞こえてくる。今さらテーマとして取り上げるまでもなく、企業の担当部門、担当者が何らかの策を講じているのではないだろうか。

しかし、世の中は常に動いているし、変化は止まらない。今、この言葉の意味は以前にも増して重みを持ってきている。
今さら?いや今だからこそ情報のガバナンスの再考をするべきだと言える。

カスタマーエクスペリエンスに対する情報ガバナンスの再考


情報ガバナンスは、様々な観点でその適用を考えなくてはならないが、永らくWebコンテンツ管理に携わってきた経験からテーマをあげるとすれば、やはり昨今のカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)に対する情報提供の管理だろう。

ガバナンスを考える上で、カスタマーへ情報を提供するまでの企業内の管理と、情報を公開したあとの様々な反応や、提供した情報に含まれるテキストや画像が意図せず伝播した際のリスク管理も含まれるだろう。

ここでは、前者の企業内の情報管理について考えてみたい。

カスタマーエクスペリエンスという言葉のとおり、もはやユーザーは商材を単なるモノとして購入する時代ではなくなった。商材を買うまでのストーリーで、モノの善し悪しはもちろん、モノにまつわる背景や歴史、利用シチュエーションの想像、そのモノを通した未来など、カスタマーなりの体験(妄想?)をとおして購入に至る。

その体験は、デスクトップPCはもとより、スマートフォン、タブレット、デジタルサイネージ、TV、紙などのオム二チャネルで表現し、それらのコンテンツはテキスト、画像、動画などで構成され、ブランドとして一貫性を持っていなければならない

そして、何よりも、その情報提供のサイクルが尋常ではないスピードと頻度で提供できなくては、カスタマーのアテンションを維持できない。一昔前の情報提供では、製品の紹介、スペックの提示で終わっていたが、いまやエクスペリエンスを演出し、それをカスタマーへ様々なタッチポイントを通して、様々な形で伝えなければならない。

図)オムニチャネルとタッチポイントの変化


企業のWeb担当者に話を聞いてみると、驚くほど情報の管理ができておらず、現場の担当者は大きなリスクを抱えた状態でコンテンツ制作に追われている。

前述のスピードと頻度を求められるがゆえに、まちがった情報の掲載が増えたり、説明と異なる画像を掲載したり、果てはネタ不足による類似コンテンツの提供にクレームを入れられたりと、悩みは尽きない。

このような状況で、企業内の情報ガバナンスを考えることは非常に重要であり、以前に策を講じた企業も、現状と将来を想定した再考が必要だと考える

承認プロセスだけではないワークフローの有効活用方法



運用のミスを減らし、自動化できるところはシステムに任せることで、情報提供のスピードと頻度をあげることができる。それにより、コンテンツの中身の充実、カスタマーの満足度の向上、カスタマーエクスペリエンスの向上へとつなげていく事ができる。Webコンテンツ管理でいえば、ワークフローの適用が大きな効果を生む

ワークフローというと、単に内容のプレビューチェックと承認というケースが多く、ガバナンスという観点での活用はまだまだ少ない。ワークフローには、「外部タスク」という独自の処理を組み込めるものがあり、例えば不適切なワードのチェックや、リンクチェックなどを組み込むことができ、承認者へ依頼を出す前にシステムが自動チェックを行い、不適切な情報提供を未然に防ぐとともに、制作者へ自動的に差し戻しをすることで関係者間の無駄なやり取りを排除できる。

しかし、システムは100%ミスを防いでくれるわけではないし、人がチェックするタスクではミスは起こりうる。その対処のスピードを上げ、適切にミスを修正する上でも、ワークフローは有用である。

公開後のコンテンツに問題が見つかった際は、Webコンテンツ管理上ではすぐに担当部門や担当者を特定でき、そのコンテンツの修正をワークフローで依頼できる。

もし、緊急でそのコンテンツを取り下げる場合や、以前の状態に戻したい場合は、それも緊急対応ワークフローを準備することで対応できる。コンテンツを以前の状態に戻す場合は、あらかじめ公開ワークフローに承認後のバージョンを取得するタスクを組み込んでおくことで、その過去バージョンからすぐに以前の状態へ差し戻すことができる。

このバージョン管理タスクは人が介在しない自動タスクとして組み込むことができ、万が一の際はスピード感を持って人的リソースを極力使わずして危機対応する準備ができる。

さらに、カスタマーエクスペリエンスでは、コンテンツを様々なチャネルへ、適切なフォーマットへ変換した上で、同時に公開することが多い。それは、同じ情報をカスタマーがどのようなチャネルからでもアクセスできるようにするためだったり、検索結果からランディングページ、ランディングページからSNSなど、一連のエクスペリエンスのストーリーのために同時公開が必要な場合も考えられる。

ワークフローは、そんな状況で便利に使える。ワークフローに各チャネルに合わせたフォーマットへ自動変換するタスクを組み込んだり、担当者が個別のチャネルへ公開する処理を行わずとも、Web、メール、SNS、デジタルサイネージなどへ同時にコンテンツを配信するタスクを組み込むことで、労力削減とミスの低減が期待できる。万が一、どれかのチャネルへ配信ができない場合は自動ロールバックすることで、情報の不整合をなくし、運用の負担を減らすことも可能だ。

システム化の前に有用な業務フローの見直しについて



ここで、Webコンテンツ管理を導入し、ワークフローの活用を検討する前に、是非運用業務の見直しをお勧めする。

あるお客様が、運用に携わる関連部署に対して、外部の業務コンサルティングに業務改善を依頼した。同じ会社の各部門は、驚くほどお互いのことを理解していないことが多い。コンサルティングの結果、部門間で多くの重複作業が見つかり、ボトルネック、属人化などの改善すべきポイントが明らかになった。第三者がヒアリングを行うことで、社員では聞き辛いことや気づかぬことが浮き彫りになり、実情を整理することであるべき姿が見えたというわけである。

これらの改善点は、ワークフローのシステム化の前に、業務フローの見直しだけでその多くを解決できた。ワークフローのシステム化は、そのあとから必要なところだけ実施することで、短期かつより安価なコストで実現できた。

まとめ


業務の見直し前に、現状の課題を全部ワークフローのシステム化で解決させようとすると、複雑で高額なシステムを長期間掛けて構築することになる。

業務の見直しとともに、ワークフローシステムにより情報をうまくコントロールすることで、安心安全な情報ガバナンスを確立し、運用担当者の負荷を低減することで、カスタマーの体験を最適なものにするために何をするべきかを考える、本来業務に時間を費やすことができる。

今一度、将来を見据えたワークフローの再考を検討してみてはいかがだろうか。


本記事の続編は、「マーケター必見!DAMによるコンテンツマーケティング業務の効率化<デジタルメディアのサプライチェーン実現に向けて>」をご参照ください。