新薬の発見/開発プロセス、臨床試験の情報開示、世界的な情報開示要件の複雑さが増しているため、ライフサイエンスやバイオメディカルの関連組織でのコンプライアンスや情報管理は、他のインダストリと比較して、より困難な状況となっています。

法的要件と規制要件に対応するため、国や地域、管轄地、情報レポジトリ、物理的保管場所の垣根を越えて分散した情報資産を対象にした、情報ガバナンスの積極的なアプローチが求められます。

コンプライアンスが不可欠となる一方で、効果的な情報ガバナンスを通じてのみ完全に対応可能になる、その他の課題やビジネスチャンスも数多く存在します。以下はその例です。

ライフサイエンス業界にて考慮すべき情報ガバナンスとは?

ビッグデータの管理

ライフサイエンスのあらゆる側面から生成されるデータの量は、2011年単年で、150エクサバイト (1億5,000万テラバイト) と見積もられています。

さらにこの数値は、年ごとにおよそ1.2~2.4エクサバイトずつ増えています。この情報量には驚かされますが、このデータの中には、多くの難病の治療方法発見に貢献するデータが含まれている可能性もあります。

このようなデータを、入手、管理、保管、検索、転送、分析、可視化し、最も有益な情報を識別する必要があります。そのためには、大量のデータ自体の重要性に加え、維持管理や安全なデータ処分に関する総括的な計画が重要になります。

パーソナライズされた医療

ライフサイエンスにおいて、ビッグデータの課題を克服するメリットの1つに、医療のパーソナライズ (個々の患者に応じた調整) が挙げられます。

異なるデータセットからの膨大な情報を分析できるようになれば、特定の薬剤が最も効果を発揮するタイプの患者や、副作用が発生しやすいタイプの患者などを特定でき、研究者は十分な情報をベースに判断を下すことが可能になります。

このためには、構造化されたデータと構造化されていないデータ膨大なソースから情報を統合し、保存して分類することが必要になります。同時に、これを実現するためのプロセスやテクノロジーを適切に管理できる、包括的な情報ガバナンスプログラムも必須となります。

コラボレーション

コンプライアンスを通じて情報の保存方法と共有方法を確立することにより、基準に基づいた将来的なコラボレーションの基盤が形成されます。

データを厳密に評価して価値ある情報を生成することによって患者の治療結果を改善する上で必要となる、基準、テクノロジー、ソリューションを開発するためには、ライフサイエンス関連組織、研究者、技術プロバイダー、規制当局にわたるコラボレーションが欠かせません。

「アクティブコンプライアンス」アプローチにより、他の業界以上に、業界標準のベストプラクティス基盤が構築され、情報の識別や共有がより効果的かつ安全になります。

外部委託とサプライヤーの関係

ライフサイエンス関連のあらゆる企業は、製品発売までの時間の短縮、運用効率の向上、収益の拡大を目標としています。

このため、主要業務以外の機能を、契約ベースのリサーチ機関、製造会社、販売代理店などに外部委託する傾向が高まっています。

これら機能の委託において外部組織を信頼するには、情報管理に関して新たな多層的アプローチが必要です。組織が責任を負う情報コンプライアンス違反のリスクを、これらの外部組織側で確実に緩和する上で、情報ガバナンスが不可欠になります。

このため、サプライチェーン全体にわたって情報ガバナンスのポリシーとプロセスを導入して運用し、サプライヤーとの契約にも盛り込む必要があります。

情報ガバナンスがもたらすメリットは?

合理化

ビッグデータを効果的に管理するためのポリシーとプロセスを整備する

有効化

情報共有に関してコンプライアンスベースの基盤を構築することにより、コラボレーションを促進する

効率化

契約ベースの組織に外部委託することにより、効果的にネットワーク化したビジネスを構築する