情報は、現代の政府に力を与える柱の1つです。公共部門の情報を効果的に管理して共有することには、人々の生活を改善し、経済成長を促進する力があります。このプロセスには多くの関係者が関わっています。

中央政府と地方政府、それぞれの省庁や機関、公務員、研究者、サプライヤーはすべて、政府の情報に安全にアクセスする必要があります。さらに重要なことに、あらゆる政府機関は、市民との深い協力関係を構築し、提供する行政サービスの簡素化と改善に取り組んでいます。

「これが情報社会の時代です。世界経済で競争し、犯罪やテロ攻撃から身を守る私たちの能力は、自然がもたらす富や壁やフェンスにのみ依拠するのではなく、情報を活用する能力にも依拠しています。」

ゴードン・ブラウン元英国首相

 

ほとんどの政府機関では、情報へのアクセス、保管、セキュリティに対応するための確固たる情報管理戦略が構築されています。しかしこのような戦略はしばしば、特定の単独ソリューションとして各省庁レベルで個別に開発されます。また政府機関では、情報が持つ価値を定義するための情報管理プログラムを導入している場合もあります。

デジタル時代の課題は、個人のデータとプライバシーを保護しつつ、情報の爆発的増加を管理してコラボレーションを促進し、政府の直接的なアクセスを管理することにあります。このためには、包括的な情報ガバナンス戦略が必要です。

考慮すべき情報ガバナンスの主要な検討項目は?

機密情報への安全なアクセスと保護

大手メディアの記事では、個人情報が盗まれた場合に生じる可能性のある、評価と信頼に対する損害について言及される場合があります。政府にとっての課題は、ますます多くの行政活動が企業のファイアウォールを超えて行われていることです。積極的に市民との関わりを深めると同時に、情報セキュリティと個人データのプライバシーを監視しますが、関与を促すアクセスの容易さと、政府が法的要件を満たすために求められる最高水準のセキュリティとの間には、バランスが必要です。

ユーザーのアクセスが主にインターネットベースであるという事実によって、この課題はさらに困難なものになっています。インターネットは本質的にオープンなため、攻撃に対して非常に脆弱です。そこで情報ガバナンスを導入することにより、公務員が職場を離れている間のモバイルデバイスの運用に関するポリシーに合致した情報の作成方法と処理方法について、包括的な戦略が確立します。

進化する行政サービスの提供方法

政府機関では、テクノロジーによるサービスの提供方法の変化について調査を行っています。英国政府はこれを「変革する政府」と呼んでいます。情報インフラストラクチャは、ユーザーのアクセスに向けたWebベースのポータルを使用して構築する必要があり、それと同時に、政府情報の作成、入手、共有、分析、安全な保管に関するポリシーとプロセスを設定して運用する必要があります。

これによって政府は、情報を、行政サービスの効率的な提供を支えるコスト効果の高い資産として扱うことができます。その一方で、テクノロジーの変化は、文化やプロセスの変化にマッチしなければならないという認識も広まっています。

しかしこれが、情報ガバナンスがその真価を発揮できる側面です。

電子民主主義に向けて

政府の情報や行政サービスを提供するためのインターネット環境が普及したことで、政府のコンテンツを整理、保管、アクセスを提供する当事者にとって、状況は劇的に変化しました。多様で地理的に分散したユーザーコミュニティにおいては、デジタル方式での保存、認証、セキュリティ、アクセシビリティなど、技術的な課題は多数あります。

管理上の課題としては、コストの管理、ワークフローの改善、スタッフのスキルとリソースの構築、ユーザーの期待値の設定などがあります。主要な問題点としては、個人のプライバシー保護、政府情報の再利用、そして、より多くの人々が電子民主主義に関与できるようにするためのデジタルデバイドへの対応などがあります。

情報ガバナンスがもたらすメリットは?

合理化

情報ガバナンスを活用し、情報管理と知識管理のイニシアチブを組み合わせる

有効化

政府と関係者が新しい行政サービスの提供を改善するためのコラボレーション環境を拡充する

効率化

電子民主主義における広範な市民参加への移行を促進する、安全な情報インフラストラクチャを構築する