「情報ガバナンス」とは、企業情報に関連するリスクと機会のバランスを取ることです。これには、データや文書の保存期間などに関する法規を遵守しつつ、情報を価値ある企業リソースに変えるという目的があります。

必要なときに目的とされる正確な情報を提供すること、インフラストラクチャ、管理、セキュリティのコストを制御することの、絶妙なバランスです。

ビジネス関連の情報はほぼ無限に拡がっています。また情報は今日、複数の場所に、複数の形式で、複数のシステム上に存在しています。

履歴データを例に取ってみましょう。多くの場合、紙媒体の原本が存在し、スキャンされて電子的に保管されています。また多くの場合、同じ文書に一貫性のない複数のバージョンが存在します。

ほとんど企業は既に情報を扱うためのガイドラインをいくつか設定していますが、一貫性をもって運用または管理されているわけではありません。またこのようなガイドラインは、情報に関する特定の課題に対応するために肥大化し、継ぎはぎソリューションの原因となり、情報ガバナンスの一元管理アプローチにとって障害となる「情報のサイロ化」を発生させます。

情報ガバナンスの導入を検討している企業のための主要な検討事項は?

「アクティブコンプライアンス」の導入


法規制遵守
は、多くの組織が情報ガバナンスプログラムに取り組む主な理由です。グローバルな組織では、ビジネスコンテンツの保管方法や管理方法について、驚くほど多くの義務が課せられています。すべてのビジネス情報、例えば注文や請求、業務関係の通信記録などは、目的や地理的な場所に応じて保存期間も異なります。

一部の業界では、情報を最長100年間保持すると同時に、アクセス可能にしておくことが要求されます。実際、米国政府は、特定の文書に対して無期限の保持を義務づけています。一般組織でも、対象となる規制を最低限遵守しなければなりませんが、その事業を対象とするすべての規制を遵守していることを示す必要もあります。

情報ガバナンスは、作成から削除までの情報ライフサイクルの一元管理を可能にし、コンプライアンスを示す必要がある場合に情報を提供できるようにします。

しかし企業にとって、コンプライアンスはビジネスチャンスでもあります。業界のベストプラクティスに基づいて情報を管理し、コンプライアンスに関する情報を準備することにより、競争上のアドバンテージ拡大のために利用できる分野を特定することも可能になります。

「アクティブコンプライアンス」は、新しい規制に迅速に適応し、組織がビジネスチャンスを獲得できるようにします。

既存のビジネスインテリジェンス(BI)とビッグデータの改善


ビジネスインテリジェンスは、今や成熟したテクノロジーですが、構造化データの情報分析を主要目的としています。企業内の情報が構造化データとして保存される割合は、驚くほど低いのが現状です。一方で、文書、プレゼンテーション、電子メールなどの非構造化データが、はるかに大きな割合を占めます。

ビッグデータは、組織内の全情報の網羅を目指しています。ビッグデータを活用することで、企業は、提供するサービスの品質と収益性を向上させ、eDiscoveryなどの分野に関連するコスト、時間、リスクを削減することができます。

ビッグデータは情報管理ジグソーパズルの一部です。意思決定を改善するための分析を可能にしますが、それには情報ガバナンスのコンテキストも必要になります。ビッグデータプロジェクトを情報ガバナンスのフレームワーク内に配置することで、企業はトレンドや市場の可能性を識別できるだけでなく、その発見を有効利用するにはどの情報が重要か、その情報をどこに配置すべきか、誰がアクセスすべきかを判断することが可能になります。

顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)の改善


顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)
の改善は、情報ガバナンスにおける重要な推進力です。これには2つの重要な要素があり、第一はサービスの品質です。

製品やサービスに関する初期段階の調査から、実際に購入するための発注まで、情報は、顧客関係のあらゆる側面を支えます。組織がそうした情報をサービス品質向上に活用できればできるほど、顧客体験は改善します。

第二の要素は、顧客サポートの質です。顧客サービス担当者は、顧客とその取引に必要なすべての情報にすばやくアクセスできる必要があります。これにより、最初の問い合わせで、顧客からの質問により多く回答することができます。ビジネスユーザーが自由に利用できるように正確な情報を配置し、注文のトラッキングやセルフサービスの機能を顧客に直接提供することで、顧客体験が改善し、ロイヤルティが向上して、リピート購入も増加します。

ビジネスアジリティの向上


ほとんどの企業は、組織自体も、組織内の情報も、孤立したサイロのように単独で存在していることを認識しています。プロセスを再設計して部門間の障壁を打ち破るべく、さまざまな取り組みが行われていますが、情報管理は、おそらく、組織構造に関する取り組みより遅れています。

企業が「真実の唯一のバージョン」、つまりビジネスにとって価値のある正確な最新情報について矛盾のない見解を確立するには、事業部門、人事、財務、法務、IT の全部門が一致団結する必要があります。

ライフサイクルを通じて情報がどのように管理されているかを、全員が把握する必要があります。これにより、不要で無駄な情報が企業システムから排除され、ビジネスユーザーによる情報アクセスがさらに一貫性のある、より効果的なものになります。

その結果として企業は、変化する市況に迅速に対応することや、新しいビジネスイニシアチブを組織全体に導入することが可能になります。

情報ガバナンスがもたらすメリットは?

合理化

組織内のすべてのコンプライアンス要件を管理するフレームワークを作成する

有効化

ビッグデータの分析結果を業務環境に迅速に反映させる

効率化

「アクティブコンプライアンス」を通じて、ビジネスチャンスを特定および活用するための、業界最先端のプロセスと敏捷性を実現する