世界的なエネルギー需要は急速に拡大しています。老朽化したインフラを管理しつつ、鉱業、石油、ガス、電力の各種企業が新しい資源を発見および開発する必要性はますます高まっています。エネルギー関連組織は、世界で最も規制の厳しい分野の中で非常に効率的な事業運営を要求されます。

情報の価値を最大限に引き出す能力は不可欠ですが、その一方で不適切な情報管理が事業の成功に深刻な影響を与える可能性もあります。ARCアドバイザリーグループは、資産情報管理という小さな部門の不適切な運用によって、エネルギー会社の収益が1.5%も吹き飛んでしまう可能性があることを推定しています。

エネルギー企業における対策は、業務運用のあらゆる側面について、「真実の唯一のバージョン」を構築するということです。

これは、構造化された情報とされていない情報を含むあらゆる情報を、1つの見解としてまとめるということです。多くの産業とは異なり、エネルギー分野は、常に、地理的に広いエリアに事業と資産が分散した「遠隔と分散」ビジネスモデルがベースとなっています。

当然これは情報開発のサイロ化につながります。情報ガバナンスは、このプロセスを逆転させ、場所や時間を問わず、正当な利用者が目的の情報にアクセスできるようにするために必要となります。

エネルギー分野において考慮すべき情報ガバナンスの主要な検討項目は?

健康・安全・環境(HSE)へのコンプライアンス対応


エネルギー関連企業にとって、健康と安全は最も重要な懸案事項です。鉱山や海上掘削施設など、僻地や厳しい環境で事業を運用している場合は特に重要です。
健康、安全、環境 (HSE)に対する懸念の緩和は、規制コンプライアンス以上に重要です。


現場での事故は、不完全または不正確な情報によって発生するケースが多々あります。規制が求める提出物や報告の正確性に加え、HSEを日々の業務手順に組み込む必要があります。HSEでは、業務の運用や保守に関する正確な最新情報を労働者に提供することを中心に据えます。

優れたビッグデータの運用


他の業種セクターと同様に、エネルギー業界でも、意思決定に必要な情報は組織データ内に保持されていると認識しています。「ビッグデータ」は、他の多くの業種より多くのデータを持つエネルギー関連組織にマッチした表現です。


スマートグリッドなどの開発は、リアルタイムのデータ分析を利用し、ビジネス上の展望と意思決定を改善する機会となります。顧客離れが頻繁に発生する分野で、新しく革新的な製品を短時間で市場投入できる敏捷性を有することは、競争上の大きなアドバンテージです。


情報ガバナンスは、巨大な顧客データベースと評価データベースにおける情報の価値と、顧客のコミュニケーションや電子メールに見られる非構造化データの価値を引き出します。

生産施設の情報資産管理


発電所、掘削施設、製造現場などの生産施設には、エネルギーセクター特有の大きな課題
が付きまといます。ダウンタイムを最小限に抑えつつ、資産利益率と運用効率を最大化できる能力が、重要な課題となります。

従来の資産管理アプローチでは、構造化されたトランザクションデータに焦点を当てきました。これも重要ですが、全体像のごく一部に過ぎません。組織では、技術仕様、ユーザーマニュアル、保守記録、サービス契約など、すべての資産情報を総合的に把握し、必要に応じてアクセスできるようにする必要があります。生産資産の管理と保守がコストや非効率性の原因となっている場合は、資産情報のアクセス環境、品質、トレーサビリティが非常に重要になります。

資本支出効率の改善


天然資源の不足に伴い、新規の資源探索コストは急上昇しています。
これは、企業は設備投資型のプロジェクトでギャンブルすることはできないということを意味します。

このため、2つの要素を考慮する必要があります。

第一に、プロジェクトの実現可能性を判断し、ライフサイクルを通じて事業を推進する上で、情報が重要な役割を果たすということ。

第二に、企業は、資本を新しい資源開発と生産能力に注入するために解放する手段として、事業にフォーカスを絞ることができるということです。

情報ガバナンスは、この両方の目標を達成する上で重要です。組織内の情報価値を最大化することで、業務の効率性、生産性、収益性は向上します。さらに、適切な関係者が適切な時間に適切な情報に確実にアクセスできる戦略とフレームワークを実現し、世界中のどこにいようとも情報を安全に共有してコラボレーションできるようにします。

情報ガバナンスがもたらすメリットは?

合理化

生産資産などの重要なビジネス要素に関連したあらゆる情報について、「真実の唯一のバージョン」を実現する

有効化

プロジェクトの納品期間は、プロジェクト設計文書の効率的な整理によって短縮できる

効率化

シンプルな手段を導入して資産活用効率を向上させる能力を通じて、生産性と収益性を向上させる